電気工事士に必要な「材料」とは?技能試験で求められるパーツ一覧
第二種電気工事士技能試験において必要な材料は、実際の配線作業を想定した構成となっており、その種類は非常に多岐にわたります。具体的には以下のような代表的なパーツが挙げられます。
まず中心となるのはケーブル類です。VVFケーブルは2.0mm×3芯や1.6mm×2芯が主に使用され、用途ごとに種類が分かれています。このVVF(600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形)は、住宅配線の基本となるため、試験でも出題頻度が高く、長さの測定や皮むき加工が必須となります。
続いて、電線の接続や終端処理に必要な器具として、端子台、差込型コネクタ、リングスリーブ、絶縁被覆付圧着スリーブなどが使用されます。これらは施工時の安全性と信頼性を担保するために欠かせない材料です。リングスリーブに関しては、施工時にJIS規格の圧着マークが確認されないと減点対象となるため、適正サイズや圧着工具の選定も重要なポイントです。
また、スイッチ類やコンセントも頻出です。埋込連用形スイッチ、3路スイッチ、埋込コンセントなどが基本セットに含まれ、それぞれの結線方法を正しく理解していることが求められます。電灯器具としては引掛シーリングボディも登場します。これらは配線の正確さと結線手順の知識を試す目的で使用されます。
技能試験では、これらすべての器具を正確に扱う能力が求められます。加えて、材料には「指定品」がある場合があり、JIS規格準拠であることが条件となるケースもあるため、購入時にはパッケージ表示や刻印の確認が必要です。
また、材料によっては試験時に不適格と判断されることもあります。例えば一部の安価な差込型コネクタや圧着スリーブは、規格外サイズや品質不良の可能性があり、減点あるいは失格の原因となるケースも報告されています。
このように、第二種電気工事士技能試験に求められる材料は多く、単に種類を知っているだけでは不十分です。それぞれの機能、組み合わせ方、施工上の注意点なども理解し、正確に扱える力が求められます。
ホームセンターで入手できる材料の種類とその限界
ホームセンターは全国各地に展開されており、DIYを支える大きな役割を果たしています。電気工事士の試験に必要な材料も、一定数はホームセンターで購入することが可能です。ただし「すべてを網羅的に揃える」という観点では、いくつかの限界があります。
まず、一般的なホームセンターで入手できる主な材料は以下の通りです。
- VVFケーブル(1.6mm/2.0mm・2芯/3芯)
- リングスリーブ(小・中)
- 差込型コネクタ(2端子・3端子)
- 一部のスイッチやコンセント(埋込形)
- ボックス類(露出・埋込型)
- 絶縁テープやケーブルタイなどの消耗品
これらはホームセンターの「電材コーナー」や「DIY用配線部材コーナー」に置かれており、一定の店舗では問題なく購入可能です。ナフコ、カインズ、コーナンなど大手店舗では、上記のような基本的材料が比較的揃いやすい傾向にあります。
しかし、すべての材料を1店舗で完結できるわけではありません。特に次のようなアイテムについては、入手が困難なケースが多いです。
- 端子台(2極・4極タイプ)
- 試験用に必要なJISマーク付き部材
- 特殊な引掛シーリング(丸型以外)
- 試験用にサイズが限定された圧着スリーブや刻印済みリングスリーブ
また、店舗によっては在庫のばらつきが非常に大きく、来店時に商品が並んでいないこともあります。在庫限りで終売となっている製品もあり、同じ品番・型番を探すこと自体が手間になることも珍しくありません。
さらに問題となるのが「規格の確認がしづらい点」です。ホームセンターでは商品パッケージに詳細な仕様が記載されていないケースもあり、JIS規格や試験対応品かどうかを確認しづらいという声も少なくありません。試験用として使用するには、規格外の製品を避ける必要があるため、この確認作業も慎重さが求められます。
結果的に、多くの受験者がホームセンターのみで材料を揃えようとして失敗した経験を持っています。たとえば、端子台や指定スリーブがなかったり、VVFケーブルの色違いで購入してしまい、再度店舗を回る必要が生じたという声もあります。
このような理由から、現在ではネット通販や専門店の材料セットの活用が主流になりつつあります。ただし、ホームセンターでも価格比較や補充目的で利用できるため、役割を正しく見極めて活用することが大切です。
ホームセンターでの購入でかかるコストと探す手間とは
ホームセンターで材料を調達する際に、多くの受験者が直面するのが「時間」と「手間」の問題です。DIY経験がある人にとってはお馴染みの環境かもしれませんが、電気工事士試験に特化した材料となると、話は大きく異なります。
まず、店舗の広さによる探しにくさが挙げられます。電材コーナーは多くのホームセンターで奥まった場所にあり、目的の材料を1つずつ探すのは意外と時間がかかります。陳列方法も明確ではなく、電線と端子、スリーブなどが別フロアや別通路に分かれていることもあり、初見の人には負担が大きいです。
また、材料を一つずつバラで購入するスタイルとなるため、買い忘れや種類違いが生じやすくなります。特に初心者の場合は、必要な材料の種類・数・型番を正確に把握するだけでも一苦労です。
次に、在庫確認の手間です。店舗によって取扱商品が異なるため、事前に電話確認やネットでの在庫照会が必須となります。ただし、対応していない店舗もあり、無駄足になってしまうケースも少なくありません。近隣に複数店舗がない地域では、別のホームセンターまで足を運ぶ必要があるため、移動時間や交通費の負担も増えます。
費用面でも、単品購入によるコストの積み上がりがネックになります。ネットで購入する「材料セット」に比べると、1つずつ購入することで合計金額が高くなる傾向があります。
最後に、ホームセンターでの調達は精神的にも負荷がかかります。必要なものが見つからない、店舗を回るたびに品切れ、再来店しても入荷未定といった状況が続くと、試験対策へのモチベーションも低下してしまいかねません。
こうした点を総合的に見ると、ホームセンターでの購入は「補充目的」「最終調整」「練習用の追加購入」としての利用が最も適しているといえます。全ての材料を揃える手段としては効率が悪いため、メインは通販や専門ルートを活用し、ホームセンターは補完的な選択肢として位置付けるのが理想です。