電線管のサイズが決まったとしても、その中に収容できるケーブルの本数を誤ると、施工不良や法令違反につながる可能性があります。配線作業においては、電線の太さだけでなく、許容される曲げ半径、熱の発生、引き込みやすさなども考慮しなければなりません。第二種電気工事士試験では、こうした実務的な視点からケーブル収容本数の判断を問う設問が出題されることもあります。
適切な収容本数は、電線の種類と太さ、電線管の内径などから導かれます。ここでは、一般的によく使われるケーブルサイズと、各電線管サイズに対して収容できるおおよその本数を表にまとめています。
代表的なVVFケーブル(600V ビニル絶縁ビニルシース)を基準とした収容本数早見表
電線管サイズ(呼び) |
内径(mm) |
1.6mm×2心 |
1.6mm×3心 |
2.0mm×2心 |
2.0mm×3心 |
VE16 |
約18.0 |
3本 |
2本 |
2本 |
1本 |
VE22 |
約23.5 |
6本 |
4本 |
4本 |
2本 |
VE28 |
約29.0 |
10本 |
6本 |
6本 |
4本 |
VE36 |
約36.0 |
14本 |
10本 |
9本 |
6本 |
VE42 |
約41.0 |
18本 |
14本 |
12本 |
9本 |
この表は、施工性や安全性を考慮した一般的な目安であり、配管の距離や曲がり角の有無、施工方法によって多少前後することがあります。たとえば、長距離配線や複雑なルートを通す場合は、本数を少なめに見積もることが望ましいとされています。
また、金属製電線管やCD・PF管など、材質によっても許容本数に影響が出ることがあります。特にCD管は内径が狭く、曲げが多いため、収容本数は実際の数値よりも少なく見積もることが安全です。屋外や高温になる場所では熱膨張による影響もあり、過密配線は事故の原因になります。
施工にあたっては以下のような判断ポイントを押さえておくと安心です。
- 配管ルートに曲がりや段差がある場合は余裕を持って本数を調整する
- 複数種類のケーブルを同時に収容する場合は、太さに応じて再計算する
- 照明・スイッチ系と動力系の混在は避け、別系統で収容する
実務では、収容可能本数の判断に加え、配線を傷つけないように引き込み作業を丁寧に行うことが求められます。試験では、こうした判断をする力を養うためにも、単なる丸暗記ではなく、実際の施工をイメージしながら学習することが重要です。