許容電流は、以下のような複数の要素によって決まります。
要素 |
内容 |
電線の種類 |
単線・より線・ゴムコード・ビニルコードなど、種類によって異なる許容電流が設定されている |
電線の断面積 |
電線が太いほど許容電流は大きくなる |
使用環境 |
温度や湿度、敷設方法(露出・埋設など)によって変化する |
電流減少係数 |
周囲温度が高い場合、電線の許容電流は低下する |
絶縁材料 |
絶縁被覆の種類(ビニル、ゴム、耐熱)によって異なる許容電流が定められている |
例えば、単線1.6mmの許容電流は約27A、単線2.0mmでは約35Aとされています。一方、より線の場合は異なり、2.0sqのより線の許容電流は約27A、3.5sqでは約39A程度となります。このように、同じ太さの電線でも、単線とより線では異なる許容電流が設定されているため、試験や実務において正確に覚えておく必要があります。
周囲温度が30℃を超えるような環境では、電線の絶縁性能が低下するため、許容電流に電流減少係数(低減率)を適用することになります。例えば、温度が40℃以上の場所では許容電流が約10~20%低下することがあり、適切な電線サイズを選ばなければなりません。
電気工事士試験では、許容電流の基礎知識を身につけることが合格への鍵となります。特に筆記試験では「許容電流の計算」「電流減少係数の適用」「適切な電線サイズの選定」といった問題が頻出します。実技試験では、指定された条件のもとで適切な電線を選び、確実に接続できる能力が求められます。
また、実務では許容電流を考慮しない施工を行うと、発熱による電線の劣化や短絡、最悪の場合は火災の原因となるため、細心の注意を払う必要があります。特に、高出力の電気機器(エアコン・IHクッキングヒーター・EV充電設備など)を設置する際は、標準的な配線では許容電流を超えてしまう可能性があるため、適切な電線サイズを選ぶことが不可欠です。
許容電流は、電気工事の安全性を確保するために最も重要な基礎知識の一つです。電気工事士試験では、筆記・実技ともに頻出の項目であり、試験対策として正確な知識を身につけることが求められます。また、実務においても許容電流を理解し適切な電線を選定することは、火災や事故を防ぐための必須スキルです。許容電流の計算や環境要因の影響をしっかり把握し、安全な電気工事を行うための知識を確実に身につけましょう。